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 自分から言い出しておきながら勉強会当日は盛大なため息から始まった。


  11.赤ずきん再び


 おじさんとおばさんは私が目を覚ましたときにはすでにいなかった。ダイニングテーブルに連休中の食費が置いてあった。今日も黒岩双葉はお弁当を持ってくるらしいから浮いたお昼代は貯金箱に入れてしまおう。
 前回の反省を生かして黒岩双葉を迎える準備は昨夜のうちに終わらせてある。
 洗顔や歯磨きを済ませ、袖や首周りがよれよれになった灰色の長袖のTシャツとちょっと小さくなった紺色のコーデュロイ生地のジャンパースカートに着替えて黒岩双葉を待つ。
 イルカのぬいぐるみのウミスケを抱えながら部屋をうろうろしていたら呼び鈴が鳴って思わずウミスケを落とした。
 今日の黒岩双葉はこの間見た赤ずきんちゃんベストをまた着ていた。
「おは……よう」
 今回はしっかり出迎えられたはずなのに、黒岩双葉はさわやかに挨拶するのにまた失敗した。
「び、びっくりした。スカートが、短い」
 言われてスカートを見下ろした。制服は、一年のときには膝下まであったのがいつの間にか膝丈になっていたけど無駄に頑張っている子に比べればずっと長い。今日のスカートはもともと短めだったのが背が伸びたことにより完全にミニスカートになっていた。全体的にきついのは我慢できる範囲だから気にしない。
「あと、生足……」
 気持ち悪いからせめて素足と言え。
「変態」
 脚を少しでも隠すようにスカートの裾を下に引っ張りながら言ったら黒岩双葉は慌てふためいた。
「ち、違う、別に変な意味じゃなくて珍しかったから」
「冗談だよ。早く上がって」
「……うん」
 黒岩双葉が変なことを言ったせいで短いスカートが急に心許なくなった。

 お気に入りの黄色いクッションはマットレスの上に避難させていて黒岩双葉のお尻の下には今日はちゃんと座布団があった。
「テストも受験も早く終わんねえかな」
 ぼやきながら黒岩双葉は丸テーブルの上に勉強道具を広げていく。私も今日こそは真剣に勉強すべく数学の問題集を開いた。その後は理科の実験の復習でもするか。
 今日は悪魔見習いの卒業試験という設定でいこう。すぐに踊り出しそうに見える数字や記号の羅列にくらくらしながら私はシャーペンを握り直した。
「キャサリンってさ、男子の間ではどうなの?」
 三十分後、卒業試験に落第した私は黒岩双葉の勉強も妨害してやることにした。
「んー、どうって?」
 黒岩双葉は私が挫折したのと似たような問題と格闘中で、顔も上げずに返事した。
「男子って、誰それはかわいいとか胸がでかいとか、そういう話してるんじゃないの?」
「んー……って、俺は薫子がいるから!」
 誰もそんなことは訊いていない。やっと手を止めた黒岩双葉に私はもう一度質問し直した。
「男子の間ではキャサリンの評判はどうなのかと思って」
「なんでそんなこと」
「最近キャサリンの彼氏欲しい病がますますひどくなってるから、物好きな人いないかなと」
 あのキャラをやめれば彼氏ができる可能性もぐっと高まるのにキャサリンの選択肢にそれはないらしい。私はあのキャラも嫌いじゃないけど。
「物好きって……」
「双葉みたいな」
「俺、物好きなの?」
「じゃなかったら私とつきあおうとか思わないよ」
 黒岩双葉はとうとうシャーペンも置いた。妨害作戦は成功したようだ。
「で、どうなの?」
「キャサリンのこと、なんか面白いって言う奴はいたけど」
 転校初日のクラスのどん引きっぷりを思い出すとそれだけでもすごいことのように思える。なんだかんだで慣れるものなのかもしれない。
「じゃあ全く望みがないわけでもないんだ」
「焦らなくても彼氏なんてそのうちできると思うけど。キャサリン結構しっかりしてるし」
 確かに、将来のことなんて受験がおぼろげに見えるくらいの私と違って、キャサリンは服飾関係の仕事に就きたいという目標がすでにあるくらいだ。
「うん、そうだね」
 私は頷き正面に座る黒岩双葉の顔を見つめた。黒岩双葉も戸惑いがちに見つめ返してくる。
 黒岩双葉と見つめ合いたくなんてないけど私の妨害作戦はまだ続いているのだ。
「双葉のお兄さんって、どんな人?」
 年の離れたお兄さんがいると言っていたことを思い出して訊いてみる。
「兄ちゃん? あ、昨夜からうちに帰ってきてて、ちょうど写メ撮ったばっかなんだ」
 黒岩双葉はテーブルに時計代わりに置いていた携帯を開いた。
「えーと、ほら、これ」
 黒岩双葉が私に見せた携帯の画面にはやさしそうに笑うスーツ姿の男の人が映っていた。まるで大人になった黒岩双葉のようだった。
「……似てるね」
「そう? あんま似てねえと思ってたけど」
「その写メ欲しい」
「え」
 あからさまに訝しげな顔をされて、私は黒岩双葉が喜びそうな理由を口にした。
「双葉が大人になったみたいで面白いから」
 面白いからもっとよく見たいというのは本心だ。予想通り黒岩双葉は嬉々として写メをくれた。二枚も。
「なんで自分のこと撮ってるの?」
 笑顔の黒岩双葉が私の携帯に表示されている。
「え、いや、せっかくカメラついてるから色々撮ってみただけ」
「ふーん」
 すぐに削除しようかとも思ったけど何かに使えるかもしれないと思い直し、お兄さんの写メと一緒に仕方なく黒岩双葉の写メも保存することにした。
「お、俺も、薫子の写メ、欲しいなー、なんて」
「ない」
「じゃあ今撮って」
「嫌」
 黒岩双葉はそれで黙った。この間、無理やりキスしてしまったときのことを思い出す流れになってしまった。
「それよりも」
 気まずくなりかけた空気が嫌で、私はさっさと話題を変えることにした。
「双葉のお兄さんのこともっと知りたい」
 携帯の中のやさしそうな笑顔に視線を落とす。
「……なんで?」
「なんとなく」
 他の話題が思いつかないから。
「兄ちゃんは、普通のサラリーマンだよ。そんなにしょっちゅう会えねえけど、年離れてるから昔から俺にはすっげえやさしい」
 写メからもにじみ出ているくらいだから相当やさしい人なのだろう。
「結婚してないの?」
 確か十五離れていると言っていたから三十歳くらいのはずだ。
「まだだけど、あ、でも、彼女はいるから! 多分」
「お兄さんが中学生のくらいのときの写真とかってないの? 見てみたい」
「アルバムならどっかにあると思うけど、な、なんで」
「どれだけ双葉と似てるか気になるから」
 これも別に嘘じゃない。
「……一応、探してみる」
「うん、よろしく」
 渋々といった感じで黒岩双葉は頷いた。
 貴重な話題をふくらませられなくて黒岩双葉はまた手を動かし始めてしまう。
 私はとっさに身を乗り出して黒岩双葉の右手を両手で止めた。
「……もしかして薫子、勉強するの嫌になった?」
 黒岩双葉に魂胆を見抜かれて私は両手を離した。
「そんなことないよ」
 黒岩双葉の勉強を邪魔する作戦はそこで終わり、私は卒業試験に再挑戦することにした。

 今日のお弁当はわかめご飯につくねの照り焼き、焼き鮭、ほうれん草のおひたし、にんじんのサラダ、ひじきの煮物、それから玉子焼き。前回に比べると大分ボリュームダウンしたけどそれでもお弁当箱いっぱいにつまっていてとてもおいしそうだった。
「今日はちょっと和風にしてみた」
「うん、おいしそう」
 相変わらず私好みな味つけのお弁当はあっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさまでした」
 お弁当箱を片づけているとふと視線を感じた。
「……何?」
 視線の主はもちろん黒岩双葉だった。
「薫子って、本当においしそうに食うなーって思って」
「だっておいしいから」
「へへ、ありがと」
 黒岩双葉の料理は好きだけど、黒岩双葉のことが大嫌いなことに変わりはない。幸せだとか言っていられるのは今のうちだけだ。
 再び問題集が広げられたテーブルを見ておいしいお弁当の余韻は吹き飛んだ。
「……勉強、もう終わりにしない?」
「だめ。テスト近いんだもん」
 私の提案は意外と厳しい黒岩双葉にあっさり却下された。黒岩双葉はそれからにかっと歯を見せて笑った。
「三時まで頑張ったらおやつが待ってる」
 おやつにつられて私は卒業試験に再々挑戦し一時間後、見事に合格した。
「見て見て! ほら! できたよ!」
 嬉しさのあまりテーブルをばんばん叩いて集中していた黒岩双葉をびくっとさせてやってから、花丸付きの数式の並んだルーズリーフを見せた。
「ね、すごいでしょ」
 黒岩双葉はうっとうしがるそぶりも見せずに笑顔で頷いた。
 波に乗った私は、おやつの時間まで久しぶりに勉強に没頭した。

 黒岩双葉が用意したおやつはクッキーだった。手作りの。
「ごめん、クッキー初めて作ったんだけどちょっと焦がしちゃった」
「香ばしくておいしいよ」
 すでに何枚ものクッキーを頬張っていた私は正直な感想を告げた。
「料理とかするの好きなの?」
「たまにするくらいで好きってわけじゃ。でも、薫子のためなら毎日できる」
 クッキーをのどに詰まらせそうになった。
「……そんなに私のこと好きなの?」
「好きだよ」
 あっさり返されてとっさに目を逸らしてしまった。
「私は、そんなに好きじゃないから」
 むしろ大嫌いだから。
「うん」
 だからどうしてそこで嬉しそうに笑うんだ。
「クッキー食べたらまた勉強頑張ろ」
 黒岩双葉は本当に幸せそうな顔で、私の中の黒岩双葉に対する嫌悪感が思い出したように大きくなる。
「私、いつも能天気にへらへら笑ってるような人よりも、もっと大人で落ち着いた感じの人が好き」
「でも、今は能天気な俺とつきあってる」
「だからそろそろ別れたい」
 言いながら、これじゃあただの子供の駄々にしか聞こえないと自分でも思った。黒岩双葉も案の定全然本気にしていない。
「双葉だって私のことちょっと面倒くさいとか、そろそろ飽きたとか思ってるでしょ」
「全然。むしろ前よりももっと好きになって困ってる」
 よくそんなことを面と向かって言えるもんだ。言われた私は耐えられなくてウミスケに八つ当たりしそうになった。
「じゃあ、また私とキスしたいとか思う?」
 突然無理やり唇を奪われたことが黒岩双葉のトラウマになっているかもしれないと思って、嫌がらせのつもりで言ったら黒岩双葉の顔が私から見ても真っ赤になっていくのがわかった。
「し、したい」
「だったらしてよ」
 どうせできっこない。手を繋ぐのとはわけが違う。
 腰を上げた黒岩双葉がずりずりと膝立ちで私の横にやってきてその場で正座する。
「薫子がその気になるまで、待つって言ったから」
「もうしちゃったから関係ない」
「そういうもんなのかな」
 黒岩双葉は怖気づいているのか私を見ないで近くに置いていたウミスケを見つめた。
「別に無理にすることでもないけど」
「だ、だよな!やっぱさ、こういうのってもっとこう、自然にそういう流れでするのがいいよな」
 一生忘れないとか、好きとか、調子のいいことを言っておいて結局これなんだ。
「クッキー残り全部貰うね」
 予想通りになって、本当にキスしてしまうことにならなくてよかったのに何故かイライラしたからクッキーが入っている箱を私のほうに引き寄せ一気に数枚のクッキーを口に放り込んだ。
「クッキーまた焼いてくるから」
 ばりぼりクッキーを頬張っていたら、余程気に入ったと思われたのか自分の席に戻った黒岩双葉にそう言われた。

 私の腹時計が正確に夕食の時刻を告げた頃、やっと黒岩双葉との勉強会は終了した。
 自分でも驚異の集中力で勉強できた。黒岩双葉がいなかったら今日も一人遊びに夢中になっていたことだろうから、それだけは感謝しておく。心の中で。
「もう帰る時間だね」
「俺、遅い時間まで大丈夫だからまだいられる」
 オブラートに厳重に包みすぎたのか、早く帰れと言ったつもりだったのに全く伝わらなかった。
「夕飯、今日はレトルトのカレーのつもりだけど、食べてく?」
 まだ居座るつもりなら、私だけごはんを食べるのはさすがに気まずい。
「うん、じゃあいただきます」
「ちょっと休んでからね」
 勉強のしすぎで体が重い。立ち上がる気力もなくて四つん這いでマットレスの上まで移動してごろんと横になった。変な顔をした黒岩双葉と目が合った。
「か、薫子」
「何?」
 顔が真っ赤に見えるのは気のせいか。
「今」
「うん」
「今、パ、パ、パンツ見えちゃってたから気をつけたほうがいいと思う!」
 空気が凍りついた。パンツって、どのパンツだ。まさか。
「……見たの?」
 私は起き上がって、スカートの裾を握り締めた。
「ち、ちが、見たっていうか、一瞬、本当に一瞬ちらっと見えちゃっただけで!」
 今日のパンツを思い出す。確か、水色の、この間おろしたばかりのきれいなパンツだったはず。ぼろぼろのパンツを見られなかっただけましと思うことにしよう。
「ごめんね嫌なもの見せて」
 嫌みのつもりで謝ったら黒岩双葉はさらにうろたえた。
「そういうつもりじゃなくて、ええと、その……ごめん」
 黒岩双葉は見なかったふりをすればよかったのにわざわざ私の不注意を指摘してくれたのだから、ここはお礼を言うべきだったか。
「別に、双葉が悪いわけじゃないから謝らなくていい」
 パンツを見られた恥ずかしさが遅れてやってきて、私は布団を引っ張って頭からかぶった。
「薫子? 薫子」
 布団越しに聞こえる声が近づいてきた。
「かーおるこ」
 すぐ傍で変なリズムで名前を呼ばれたのと同時に、布団を剥がれて息苦しさから解放されてしまった。
「どうした?」
 ついさっきまであたふたしていたくせに黒岩双葉は何もなかったみたいにいつもの笑顔で私を見ていた。私は黒岩双葉の手から布団を奪い返す。
「別に、どうもしない」
 パンツを見られたのが恥ずかしいからなんて、絶対に言いたくない。それよりも黒岩双葉がマットレスに乗っていることのほうが気になる。私の寝る場所に黒岩双葉が。
「今度は、うちでやろう。勉強」
「おいしいもの、たくさん作ってくれるなら行く」
 私のわがままに黒岩双葉は破顔した。
「うん、ごちそう作って待ってる」
 沈黙は不意に訪れた。思わず視線を合わせて、気づいたときには黒岩双葉とマットレスの上で見つめ合っているという望ましくない状況に。
 笑みが消えてどこか緊張したような黒岩双葉の顔がだんだん近づいてきた。これが、自然な流れってやつなのか。このままだと、キスすることになる。黒岩双葉と。
 嫌なら顔を背けるだけでいい。黒岩双葉は強引だけどいざとなると臆病になるからそれだけでこの状況からは抜け出せる。
 わかっているのに頭も体もどこも動かない。まぶただけは動いたから近づいてくる黒岩双葉の顔を見たくなくて目を閉じた。
 ついでに息も止めた瞬間、唇から燃えていく。
 今、黒岩双葉とキスしてる。
 頭が沸騰して体中が心臓になったみたいになってじんじん痺れる。相手が黒岩双葉でも、嫌悪感よりその感覚のほうがずっと強くて気持ち悪いと思えない。
 黒岩双葉の緊張具合を唇で感じるこの現実を、私の頭は嫌なことだと思ってくれない。
 なかなか離れなくてさすがに苦しくなってきたから息をしようとしたらやっと離れた。
 目を開けたら黒岩双葉の顔がまだ近いところにあった。
「薫子」
 幸せだって、口に出さなくてもうるさいくらいに伝わってくる笑顔が私に向けられていた。
 もう二度としないはずだったのに私、何してるんだろう。
 大嫌いな相手と、ぬいぐるみたちが見ているところで。
「双葉」
「何?」
 さっきまで触れ合っていたはずの黒岩双葉の唇が動くのを見つめる。
「どうしたら、私のこと一生忘れない?」
 私は黒岩双葉の記憶に残りたい。黒岩双葉の、幸せな記憶じゃなくて幸せじゃない記憶に刻まれたい。
「これから先、私よりも好きな人ができても、おじいちゃんになっても忘れない? キスしただけで本当に忘れない?」
 急にこわくなった。忘れられてしまったら、今まで私がしてきたことが全部意味のないことになるんじゃないかって。そんなの、絶対に嫌だ。
「忘れるって言ったら?」
「だから、それを訊いてるの」
「じゃあ結婚して」
「今すぐできることで」
 笑えない冗談ほど質の悪いものもそうない。
「逆に、こんなに好きになった人のこと、どうやったら忘れられるのか訊きたい」
 黒和双葉の右手が伸びてきて私の髪を撫でた。
 この手をはねのけたら黒岩双葉は傷つくだろうか。嫌いとか別れたいとかストレートな言葉が通じないなら態度で示すしかない。
 黒岩双葉の傷ついた顔を想像した。それを見たくて今こんなことになっているのに、想像した途端黒岩双葉には発動しないはずの良心が痛んで実行できなかった。
「あは、何その変な顔」
 黒岩双葉の両手にほっぺを引っ張られた。抗議の声を上げる前にその手に顔を包まれて、またキスされそうになったけど、今度はちゃんと動いた右手で慌てて口をガードした。
「もう、やだ」
 調子にのりすぎた黒岩双葉は私の拒絶に怯んだようにすぐに手を離した。
「ごめん」
 謝りながらも黒岩双葉はその場から動こうとしない。
 てっきり落ち込んだのかと思って期待して顔を見たら、黒岩双葉はいつものバカみたいに幸せそうな笑顔で私を見ていた。なんでこの状況でそんな顔ができるのか理解できない。黒岩双葉のことなんてこの先理解できることはないんだろう。
 私に向けられるその笑顔に無性に腹が立ったから少しだけ腰を上げて両手を伸ばして、黒岩双葉の赤いベストのフードを思い切り頭にかぶせてやった。
「わ、な、びっくりした」
 抱き締められるとでも思ったかバカめ。
「赤ずきんちゃん」
「俺、赤ずきんちゃんじゃなくてオオカミのほうかも」
 フードに手をかけた黒岩双葉が急に真顔になって言った。ずいぶん弱そうなオオカミだ。
「じゃあ私はオオカミをやっつける猟師ね」
 何がおかしいのか黒岩双葉は盛大にふき出してしばらく笑い続けた。


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