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044:バレンタイン Ver.2
「一生僕のことを想ってくれる愛しい君の肌にチョコレートを塗ってあげよう」
「変態! 離せ! 大体一生想うんじゃなくて一生恨んでやるって言ったの!」
「どちらでも同じだよ。それに今日という日にチョコレートを贈ってくれなかった君が悪いのだから諦めなさい」
「わ、わかったから、チョコをあげればいいんでしょ! だからもうバカなことは」
「五、四、三」
「な、何?」
「一、はい、時間切れ」
「だから何なのよ」
「たった今日付けが変わってしまった。もう一度言うよ。バレンタインデーにチョコレートをくれなかった君が悪い」
「や、やだ、シーツが汚れ……あ……っ、ん……」
「どんなチョコレートよりも、君のほうがおいしい」
首筋に垂らしたチョコレートを舐め取り、青年は満足げに笑った。
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200812.19
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